Uitenpen Ⅰ
サウンドインスタレーション, 2023
オシレーターから出るサイン波の音のみを利用して作成したアンビエント音楽に複数のエフェクトがかかることによって人工的な環境音へと変容する作品。蛇口をひねるとTof測距センサーが反応し変化をもたらす。
すべての音はフーリエ変換という手法によって極限まで分解するとサイン波の音になる。サイン波の音は自然界には存在しないが、耳鼻科の聴力検査や時報など、最も単純な音として日常的に耳にすることができる。また、フーリエ変換の逆をたどれば、理論上すべての音をサイン波から生成することが可能である。
古代ギリシア哲学では万物の根源「アルケー」が探求されたが、万物の音になることができるという意味において、音のアルケーはサイン波であると考えた。3つの蛇口のそれぞれにはタレスが唱えたアルケー「水」、ヘラクレイトスが唱えた「火」、アナクシマンドロスが唱えた「空気」の3つを模した環境音 へと変容する。